サステナビリティ

対談

スマートエナジーの社名に込められた意味

スマートエナジー 代表取締役 社長大串卓矢(おおぐし たくや)

ーースマートエナジー(以降、スマエネ)は、その名の通り再生可能エネルギーなど環境に配慮した事業を展開されていますが、改めて気候変動問題などの社会課題にどのように取り組んでいきたいか、お聞かせいただけますか?

大串

私が会社を立ち上げたのは、人間が自然に活動するだけで環境が良くなるような、持続可能な地球環境保全の仕組みを作りたいと思ったことが原点です。そこで最初は、環境に良いことをしたらお金がもらえるという排出量取引の仕組みを作りました。それが制度化されたので、今度はこの制度を使ってさらに環境がよくなるプロジェクトをやろうと思い、再エネを始めたんです。再エネは、CO2をほとんど出さずに電気を作っていくことができるので、地球規模で広めたいと思っています。スマエネは今、太陽光発電の運用・保守(O&M)事業で国内1位なので、次は世界一の企業を目指しています。

竹垣

私が御社と初めてお仕事をしたのが2008年ごろ。ちょうど排出量取引を始めたあたりだったと思いますが、その時から会社の名前は変わっていないですよね?そう考えると先見の明というか、社名に全てが表れているんだと大串さんのお話を聞いていて思いました。社名が途中で変わる会社も多いと思うのですが、御社はずっと変わらず、エネルギーをスマートにする、要は環境にやさしい発電に取り組む「地球のミカタ」という魂がずっと残っているんだろうなと感じています。

大串

あまり意識したことはないですが、名前を変えようと思ったことはないですね。

竹垣

ようやく社会というか、地球が追い付いてきたという感じですよね。

“環境好き”以外にも環境に良い活動を広げていきたい

森のライフスタイル研究所 代表理事所長竹垣英信(たけがき ひでのぶ)

ーーNPOの立場からは、社会課題にどのように取り組んでいきたいとお考えでしょうか?

竹垣

NPOは小さな世界で、私たちだけで何かを変えられるわけではありません。実際、森づくりに関わる団体って、2000年にすでに580団体ほどあって、現在は3000団体以上に増えているんですよ。

大串

そんなにいっぱいあるんですね!

竹垣

でも、この数十年の間もずっと日本の森は荒れていて、変わっていないわけです。要は森が好きなマニアは増えているけど、普通の人の変化が起きなければ何も変わらないということ。森は人間の命に大きくかかわるのに、森のことを1週間のうちどれだけ考えていますか?と聞いてもほとんどの人が考えていないと言うと思います。そこでNPOとしては情報発信をして応援してくれるような、一緒に何かできる企業さんと活動していくことが必要だと考えています。企業は有形無形問わずさまざまリソースを持っていますから、一緒に活動することで、何か地球に還元できるものが生まれてくるんじゃないかと思っています。

大串

たしかに、私も大学卒業した後はNPOに入って環境問題に取り組む選択肢もありましたけど、どう活動すべきかイメージできませんでした。企業がNPOの活動を広報することで、そのソフトパワーが現実を変えられると思うと面白いし、一緒に活動したいと思えます。

地球に貢献している実感を持てる活動

森のライフスタイル研究所 代表理事所長竹垣英信(たけがき ひでのぶ)とスマートエナジー 代表取締役 社長大串卓矢(おおぐし たくや)

ーー数あるNPOの中から、スマエネが森のライフスタイルさんとの協働を決めた背景を教えていただけますか?

大串

昨年、間伐材でパズルを作った時に、アプローチの仕方がすごくいいなと思ったんです。参加した役員たちは、普段は激しく議論をし合っていますが、この活動では皆で一つの目標を共有することで仲間意識を高められました。その時ソフトパワーのすごさを感じましたし、森のライフスタイルさんがノウハウを持っていると分かったので、今度はどういうことができるのか楽しみです。

竹垣

他にもたくさんのプロジェクトがありますよ!

ーー社会に貢献しながら社員さんたちのチームワークを同時に醸成できるのは、森のライフスタイルさんの活動の醍醐味ですよね。

大串

私、この活動を通じて解決したい悩みがありまして。うちの会社って環境にいいことをしているはずなんですが、社員の中にはそれを実感できていない人も多いと思っています。例えば、これまで石炭火力のプラントを作ってきて、その罪滅ぼしのために地球に貢献したいとうちに入ってきた人もいるんですよ。でも実際に入ってみるとやっている作業自体は前職とあまり変わらないみたいな。だからこそ、環境を守りたいという思想を持った企業に勤めている、というのを分かりやすく伝えられる活動として、社員に森のライフスタイルさんとのアクティビティに参加してほしいと思っています。

「森への無関心をなくす」きっかけとなるのは企業

森のライフスタイル研究所 代表理事所長竹垣英信(たけがき ひでのぶ)

ーー竹垣さんはNPOの立場から、企業に期待することはありますか?

竹垣

NPOは、対企業、対行政、対市民と活動することがありますが、対行政との取り組みはかなり時間がかかりますし、対個人の活動を進めてもすぐに何かが変わるわけではありません。それに比べて対企業だと参加者の母数も多いし、いろいろな資産もあるので多くのことが変わりやすい。私たちは森への無関心をなくしていきたい、関心がなければ何も始まらないと思っているので、企業が間に入っていただけるのは非常にやりやすいです。

ーー個人と企業という話がありましたが、企業は個人の集合体なので森のライフスタイルさんと協働することで1人1人も変わるし、会社全体としても変わっていく効果が高いんだろうなと思いました。

竹垣

個人がボランティアを探すとなると、こわいと思うんです。変な壺を売られるんじゃないかとか心配しますよね(笑)会社というフィルターを通すと、会社がやっているのだから信用できるだろうという安心感につながると思います。

大串

私も個人で申し込もうと思ったらやっぱりこわいと思います…。

「地球のミカタ」というプライドを持って働いてほしい

スマートエナジー 代表取締役 社長大串卓矢(おおぐし たくや)

ーー最後に大串さんへの質問です。今後の森のライフスタイルさんとの協働への想いを聞かせてください。

大串

スマエネは「地球を守る」ということをまじめに言っている会社です。地球を守るためにはまず「地球のミカタ」を増やしたいと思っていて、従業員には率先して活動してほしいなと思っています。例えば、朝はみんなで掃除をしているのですが、それには私なりのこだわりがあります。人間って周りのさまざまな環境に左右されると思うんです。太陽が出ないところで暮らすと気持ちがふさいでしまうし、職場空間が汚いと生産的な活動をするのは難しいと思います。ですから、自分でオフィスをきれいにして、毎日その環境に感謝する時間を5~10分ほど使ってやろうとしているんです。今度は森のライフスタイルさんと一緒に森に入って、きれいな空気や水はこうやってできているんだ!と気づいてほしいと思います。活動を通して、いずれ地球に住めなくなるんじゃないかという危機感に対して「私たちは地球のミカタなんだ」と自覚とプライドを持って働いてくれたら嬉しいです。

竹垣

「僕は地球のミカタです」って言える隊員証のようなものを作ってみたら面白そうですね。大串社長が0001番になるのか、ならないのか(笑)

大串

いいですねそれ。地球のミカタバッチとか作りたいです。

森のライフスタイル研究所 代表理事所長竹垣英信(たけがき ひでのぶ)とスマートエナジー 代表取締役 社長大串卓矢(おおぐし たくや)

団体紹介

*森のライフスタイル研究所

2003年5月に任意団体としてスタートし、2005年8月に団体としての社会的責任の所在をより明確にするため特定非営利活動法人となった。当初は、木質バイオマスの利用推進に注力していましたが2009年より人々や企業、行政との協業による森づくり活動を展開。
現在では、市民と企業による森づくり活動、企業の木づかいプロジェクト(社員参加型 環境・社会貢献活動プログラムの提供)、母と子の野外体験活動の3つを事業の柱として活動している。

プロフィール

竹垣英信(たけがき ひでのぶ)

森のライフスタイル研究所 代表理事所長

大学卒業後、服飾系メーカー営業マンや工事現場監督等を経て、これまでの分野とはまったく関連のない環境活動にどっぷりハマり、2003年に森のライフスタイル研究所を設立、代表となる。2009年までは、木質ペレット燃料の普及を中心にそれ以降は、若者を巻き込んでの森づくりツアーを数多く開催し、テレビ・新聞、ラジオでも紹介されている。2014年からは企業CSR活動分野との協業をスタートさせ、現在は年間80本を超える企業プログラムを行っている。白い眼鏡がトレードマーク。

森のライフスタイル研究所 代表理事所長竹垣英信(たけがき ひでのぶ)

大串卓矢(おおぐし たくや)

スマートエナジー 代表取締役 社長

子どもの頃より環境問題に興味を持ち、地球温暖化防止をテーマとして働くことを決意。環境問題に対してビジネスのアプローチで取り組むため、公認会計士となり大手監査法人にて環境サービスを始める。2007年に「脱炭素をビジネスのチカラで」をコンセプトにしたスマートエナジー社を設立。CO2削減につながる仕組みを考え、実現させることに奮闘中。

スマートエナジー 代表取締役 社長大串卓矢(おおぐし たくや)