太陽光発電のO&M(Operation & Maintenance:発電所の運営・保守業務)事業において国内最大手の株式会社スマートエナジー(東京都港区 代表取締役 大串卓矢、以下スマートエナジー)は、風力先進国デンマークの独立系風力O&M事業者、Mija Windpower Aps社(デンマーク レムヴィ市 Founder/Director Mikael Jakobsen、以下Mija)を増資の引受けにより2024年1月24日(水)に子会社化しました。同社との人材交流により、デンマークを始め諸外国の最先端技術を取り込み、国内風力発電O&M技術の底上げを図るとともに、Mijaの持つ欧州、北南米、アジアなどのグローバルネットワークを足掛かりに、スマートエナジーグループとしてさらなる海外展開を進めてまいります。本件以降も国内外の風力O&M企業との連携を強化し、世界におけるO&Mのリーディングカンパニーを目指します。
・国内風力O&M業界が抱える課題
日本は「2050年カーボンニュートラル」実現に向け、2019年から2030年にかけて洋上風力を+5.7GW、陸上風力を+13.7GWまで増加させる計画を発表しました(2021年策定「第6次エネルギー基本計画」より)。急速に市場が拡大した太陽光発電所に比べ、施工開始までに長期間を要する風力発電は、今まさに陸上・洋上ともに多数の発電所建設が進められている状況で、今後風力O&M市場の大きな拡大が見込まれます。一方、日本の風力O&M業界はさまざまな課題を抱えており、その一つが風力に携わる技術者の不足です。
日本では風力発電機メーカーの撤退が相次ぎ、欧米製の発電機が多く導入されています。スペアパーツや技術者などのリソースも大半を海外に依存していることから、国内の技術者が育ちにくい現状があります。技術者の知見が十分でないため、迅速・適切な対応に多くの課題があり、ダウンタイム(発電機の停止時間)の長期化やコストの増加につながっています。
今回子会社化するMijaは、世界最大手の風力発電機メーカーを擁する風力先進国デンマークの企業です。日本政府も再生可能エネルギーの導入拡大をめぐり、デンマークとの風力発電における技術協力を宣言しています。スマートエナジーは、先進国の技術や人材をいち早く取り入れることで、国内風力O&Mサービスの体制を強化すべく、Mijaの子会社化を決定しました。
・本M&Aにより実現すること
スマートエナジーは、2021年に設立した風力O&M事業を行う子会社、株式会社SS VENTUS(2023年11月に吸収合併)の時代から、外資系風車メーカー出身の少数精鋭チームにより風力O&M事業を拡大してまいりました。今回グループ参画するMijaは、世界中のクライアントに対して風力発電機メンテナンスやスペアパーツ提供、コンサルティングを行う企業。Mijaの子会社化により、以下の狙いが実現します。
■人材交流による国内O&M技術の向上
Mijaのノウハウ豊富な人材を当社に迎えることで国内O&M技術のさらなるレベルアップを図ります。また、Mijaが請け負う海外の現場に国内からエンジニアを派遣し、現状日本に不足する現場経験を積んだ人材を育成します。
■海外発電事業者へのサービス提供体制
Mijaは、欧州、北南米、アジアなど世界中のクライアントに対しO&Mおよび付随するサービスを提供しています。スマートエナジーは、今後市場拡大が見込まれる国内O&Mのみならず、風力導入が進んでいる海外市場の開拓も積極的に進めてまいります。Mijaの子会社化にとどまらず、今後も国内外の風力O&M企業のM&Aを継続する方針です。Mijaのデンマーク拠点に続き、海外O&M企業の拠点をスマートエナジーグループとして保有することにより、他国企業とのさらなる連携や技術力を強化し、世界におけるO&Mのリーディングカンパニーを目指します。
・パーツ調達に関わる課題解決
日本の風力O&Mが抱えるもう一つの重要な課題は、パーツ調達の難しさです。国内で稼働する風力発電機の約7割が海外メーカー製のため、パーツ品目によっては海外輸送が必要となり、スペアパーツが無ければ停止期間が長期化する可能性があります。また、風力発電機の複雑な構造により、故障した際に交換すべき適切なパーツの特定にも高度な知識が求められます。Mijaは風力発電機のパーツ卸売事業をグローバルに展開しており、正規品を含めた風力パーツについて強力な調達ネットワークを有しています。将来的には日本国内にパーツ在庫を確保し、輸送期間を減らして発電機のダウンタイム短縮に貢献します。
・スマートエナジー 代表取締役 大串卓矢 コメント
日本は風力資源に恵まれた地形を活かし、近年陸上・洋上を問わず、風車稼働本数が急ピッチで増加しています。しかし、稼働に必要な有形無形のノウハウの多くを海外企業に依存している状況です。現状のままでは、国内の技術者や国内企業が育たず健全な競争が行われない結果、発電コストは高止まりする恐れがあります。スマートエナジーとしては、この国内風力O&Mの問題解決を目指しています。Mijaとはこれまでも提携して風力O&M事業を進めてきており、技術力やパーツに関する知識・ノウハウについて多大な信頼を置いています。今後はグループとしてともに活動することで、世界に通用するO&Mサービスの提供を目指してまいります。
・Mija Founder/Director Mikael Jakobsen氏 コメント
Mijaの創業者及びCEOとして、スマートエナジーグループに参画することを喜ばしく思います。当社は幅広い風力発電機について深い知識を有しており、今回のスマートエナジーによる出資で強化される財務基盤により、お客様により良いサービスを積極的に提供できると確信しています。また、当社は日本でも長らくビジネスを展開しており、多くのお客様と素晴らしい関係を築いてきました。スマートエナジーとさらに緊密に連携することにより、強力なO&M及びパーツサプライチェーン網を日本及びアジア地域において築いていきたいと考えています。スマートエナジーグループの一員として、グローバルな脱炭素化に積極的に貢献していく所存です。
・Mija Windpower Aps社について
2006年以来、世界の風力発電業界に向けたメンテナンス、スペアパーツ、コンサルティングサービスを実施。長年の経験に基づいた知識・ノウハウ、スペアパーツのスピーディな提供、メンテナンス・作業員派遣・設置作業など風力発電に関わる全てのサービスを、品質、価格、納期のバランスを考え、最善の形で提供している。