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CO2排出をゼロにしなければならない

今世紀末までには、CO2排出量をゼロにしなければならない。これは、気候変動問題に関し世界で最も影響力のある報告書が述べた結論だ。残された時間はあと85年。果たして人類は地球環境を管理化におけるのか、それとも環境を破壊し、荒れ狂う自然災害とともに生きるようになるのか。いま、人類文明の重要な局面を迎えていると言っても過言ではない。

■IPCC第5次温暖化統合報告書の公表
11月2日、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、気候変動問題に関する科学的な評価に関する第5次統合報告書を公表した。地球の平均気温が2度を超えると、大規模な水不足、生物種の絶滅、異常気象、農業生産量激減等が生じる。この2度以内に抑えるには、CO2排出量を2050年に2010年比で40~70%削減し、2100年には排出をネットでゼロとする必要があると、報告書は結論づけた。
地球の許容量はあと30年分しかなく、それを超えると気温が最大4.8度上昇すると警告された。達成手段としては、再生可能エネルギー、原子力、CO2貯留(CCS)技術を活用することが示された。大幅な技術革新が必要となる。

■新フレームワークに向けて
12月よりリマにてCOP20が開催される。いま世界各国はCOP21にて、気候変動問題に対処するための(京都議定書に代わる)新しい枠組みを採択するための努力が行われている。COP20はそのために、新フレームワーク採択のための大枠を決定しなければならない。そして、IPCC第5次報告書は、この枠組みを決定するための重要な意思決定根拠となる。
今回の報告書では、2050年までに温室効果ガス排出量を半減することが、現実的な問題として各国政府に突き付けられた。ポイントとなるのは、中国だろう。中国は現在世界一のCO2排出国であり、全世界の25%前後の排出量である。そして、毎年10%程度それは増え続けている。中国がそれを反転させ、減らせることが出来るのか。もし出来なければ中国以外の国は排出量を半分以下にしなければならない。とても、重い問題だ。

■日本の活動
「京都」を冠した国際枠組みを日本が自ら脱してしまったのは、日本としては残念だが、仮に日本が残っていたとしても結果は同じだっただろう。CO2排出の約半分を占める中国と米国に義務がない枠組みは機能しないからだ。しかし、京都体制を脱してしまったこの3年間で日本は、低炭素社会実現のために必要となる社会的科学的アプローチ、政策、省エネ技術、脱炭素技術を忘れてしまったのではないか。経団連は低炭素社会実行計画を設定して推進しているが、その内容を理解し、自分の会社経営に反映させている経営者は依然よりずっと少ないのではないかと思う。
ホーキング博士は、「宇宙の生命体は、文明が高度に成熟すると、星の環境を変化させてしまい、他の星へ移る技術を開発する前に宇宙時間で言えば瞬間的に消滅する」と言ったという。火星や金星に自由に旅行できるまでには、まだ時間が必要だし、火星や金星にいまの地球と同じ役割を期待出来そうもない。やはり、30年後にいまの排出量を半分にする社会を築くことがより現実的なことなのではと思う。何度もここで書いているが、省エネ優等生の日本であるが、そのCO2排出量は着実に増えてきている。

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