電験合格者に聞く

インタビュー

仕事の幅 広げる資格/勉強に慣れ気力も充実

 

合田さんが勤務する伊勢サービスセンターは、総勢9人の社員がいます。近隣の太陽光発電所約30カ所の管理がセンターの主な業務です。太陽のエネルギーを無駄なく電気に変えるため、天気によって変動する発電量を確認したり設備に故障がないか点検したりして事業者様に報告しています。

 

合田さんは2023年1月にスマートエナジーに入社し、伊勢サービスセンターに配属されました。元は機械工学を専攻して電気とあまり縁がなかったそうですが、その2年前に合格した電験3種の資格を生かして「電気に関わる仕事をしたい」と転職を決意。太陽光パネルの点検や報告書の作成から始めて、先輩の電気技術者による毎月の点検に同行して変圧器や遮断器などの電気設備を点検する業務を徐々に覚えてきました。

 

発電所を停電させて日頃は触れない設備を詳しく調べる年次点検は1年から3年に1回程度と、回数は限られます。合田さんは他のサービスセンターの年次点検にも参加し、経験を積んできました。

 

「電気技術者として知識を深めたい」との思いから2023年8月に電験2種を初めて受験し、1次試験4科目すべてに合格。11月の2次試験も突破しました。電験2種の有資格者は、出力5000キロワット以上の大きな太陽光発電所の電気主任技術者に選任されるなど活躍する範囲が広がります。

電気の道を歩んだ契機/資格取得後の心境

 

合田さんが電気の道に進んだきっかけは、入社前に勤務していた食品工場での経験でした。200ボルトや400ボルトの低圧の機械を運転するために時々図面を見ることはあったものの「電験という資格があるのも知らなかった」。職場が資格取得に報奨金を出しており、電気工事士資格を所有していた後輩に「電験という難易度の高い資格がある」と教えてもらいました。「せっかく勉強するならしっかりやりたい」と、より難易度の高い電験3種の勉強に着手。半年後の2020年の試験で理論に科目合格。21年には残り3科目に合格し、資格に必要な計4科目を制覇しました。

 

電験3種の合格には数百時間から1000時間の勉強が必要とされますが、意外にも「毎日机に向かう強い意志はなかった」といいます。当時は、3歳と5歳の息子さんが遊びたい盛りで、なかなか勉強する時間が取れなかったそうです。三交代勤務で夜遅く帰った日に、電験を解説する動画を見たり参考書を読んだりして時間を確保。車で通勤する時間も、動画の音声に耳を傾けました。その後も電気の勉強を続け、エネルギー管理士電気分野に22年と23年の2回で、合格を果たしました。

 

スマートエナジーに入社し、電験2種にも合格した合田さん。今年1月には、サービスセンター長に就任し、管内の発電所の報告書取りまとめやセンター員の労務管理など管理職としても奔走しています。「試験で学んだ知識に、技量が追い付くよう努力しています。使用前自己確認や保護継電器試験など、できる作業を増やしたい」「勉強が習慣になると、『頑張っている』という気持ちが湧き出て、モチベーションも上がります」と、仕事にもプラスに働いているようです。

 

会社では、後に続く合格者輩出を目指しています。
「勉強は、気持ちが乗らない時は無理をしない。でも1日1分でも取り組んで、習慣化することが大事。勉強がつらいときもあるので、職場で資格取得を後押ししてくれればうれしい」と合田さんも期待を寄せています。